hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

滑落


3000メートルの山頂はあいにくのガスであった
岩陰でガスが晴れるのを待つこと30分
ガスは晴れることはなく風は強まるばかり
あきらめて下山することにした
岩稜帯を下っていると
吹き付ける風はその強さを急激に増した
大きな岩を巻くように風上側に回り込んだ時
猛烈な風圧に吹き飛ばされそうになった
僕はとっさに岩にしがみついた
下山道の際は数百メートル切れ落ちている
落ちれば結果は明白だ
渾身の力と念を込めた
次の瞬間
体は宙に舞っていた
猛風に煽られ、僕の体は空中で数回転した
そして深い谷底に吸い込まれるように落ちていった
僕はその様子をなぜか冷静に眺めていた