hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

2023年4月のブログ記事

  • 三上山(近江富士)

    広い平野に残る小山 孤立丘とも呼ばれる 視認は近江の各地にとどまらず 古都や摂津の山からも容易い この地の旅人には 旅の帰途に安堵を与える釣鐘となる 一年の計をこの山から始める人は多い かつては私自身もそうであった 冷気が顔を刺す薄闇に 昨夕より降り積もった雪を踏みしめながら登る 元朝の初陽へのは... 続きをみる

  • 赤岳

    雪のあるうちに登ってみたかった 諏訪から遠望する焼けた冠雪のそれは 美しく荘厳に輝いていた 朝日に照る眼前の阿弥陀岳は絵画のようにおさまり 登攀の意欲を高める 澄んだ空気の中息を切らして地蔵峠に這い上がった ピッケルとアイゼンを効かせ硬い雪面を踏みしめる 山頂上空の薄曇は低く、飛び上がれば手が届き... 続きをみる

  • 光塵

    雑木が両側から生い茂り屋根を作る林道 角を回ると見通しの良い直線に出た 薄暗い林道の先に光の柱が一本 歩を進め近づくと光柱の中に無数の点滅する光が舞う ゆっくりとゆっくりと煌めく映像 やがて光の粒は波のように密度を変え舞い落ちる まるでイリュージョンのようであった 光の差し込む林道の天井に目をやる... 続きをみる

  • ジャミラ

    岩目は青空を透かし 白い岩肌は水を欲す この岩を見た時「ジャミラ」だと思った 孤独で哀しい過去を持つ 悲しきウルトラ怪獣 水の侵食に脆い石灰岩 ジャミラは待ち焦がれた水をたっぷりと得ると 皮肉にもその身を溶かしてしまうのだろう ああ哀しい物語り                    ※白崎海岸にて

  • モッタ温泉

    島牧村は海岸線の崖の薄い縁にある小さな村 その外れの漁港近くにモッタ温泉はある 一軒宿である 小さめの浴槽ながらラジウムを含む泉質が良く ぬるめの露天で1時間以上も浸かって海を眺めた 裏山の海岸線に並行する崖の上で地質調査を手伝った 40分程崖を巻く山道を登り調査にかかる 比較的平坦な崖上には石垣... 続きをみる

  • 八幡山

    八幡山 二の丸 登山道はふかふかの落ち葉道 神社の裏手を尾根まで登ると小楢の大木が待っていた 木々の間は明るく気持ち良い尾根道が続く 苔むした石垣の立ち上がり 一輪のショウジョウバカマが木漏れ日に首を伸ばし 冬の終わりを宣言していた 瑞龍寺境内の切り開きに立つと一気に世界は広がり 下界を眺める心内... 続きをみる

  • 竜ヶ岳

    積雪の後をねらい峠を目指した 雪の国道をひたすた登る 遡るにつれ谷は深く、流れる水は深く碧い 雪で閉ざされた道に人気はなく鹿の足跡が寂しい 国境の峠にスキーをデポしつぼ足で山頂を目指した 雪の急登は消耗した体力を容赦なく奪い取る だが、頂まで意欲は削げることはなかった 白く丸い山頂にただ一人、美し... 続きをみる