hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

2022年4月のブログ記事

  • インディアン平原

    湖国をちょいと越境 越境先は敦賀の岩籠山 イワゴモリヤマと読む 越境と言っても敦賀は 明治の一時期は滋賀県だったとか 山頂直下にある笹原と奇岩の小さな台地を インディアン平原と言う 名付けの理由は 秋春2度登ってみても解らぬじまい 奇岩の上に立つと敦賀の街と湾が近い なるほどと合点がいく 敦賀、塩... 続きをみる

  • 国見の石門

    鍵穴の向こうにアカヤシオが映えていた 峠から登ってくる者たちを歓迎するかのように しかし 石門の鍵は何処にあるのでしょうか

  • 春リンドウ

    リンドウは好きな花 春に咲く小さな花が春山の楽しみのひとつ 鈴鹿の岩山で 登山道脇の草付きに咲いていた こんな色濃く瑞々しい花に出会うと このままガスっていてもいいか と、山頂直下の尾根で思った

  • 竜ヶ岳の修行僧

    かつて降雨を乞うて拝登された白竜の山 中腹にある重ね石のそばで もう数百年もひっそりと 僧が修行しているのをご存じだろうか その身体すでに樹木に覆われ山と一体となり 顔は石と化した そして今も ただただ目を閉じ ただただ無言に 修行を続けている

  • カマキリ

    カマキリに見えるのは 僕だけでしょうか 何か獲物を捉えています 獲物が雄でなければいいのに と思うのも 僕だけでしょうか

  • 先割れスプーン

    山頂から残雪の日本庭園を見下ろしながら 昼飯のカップ麺を食べる 携帯フォークでかき混ぜて ひと口すすった視線の先に 魔の手のような先割れスプーンがあった それはまさに木立の麺を掬い取ろうとしているところだった

  • ニッチ

    この言葉 生態的地位のことだと思っていた 建築用語では「くぼみ」 産業用語では「隙間」 の意味らしい ではこれもニッチだ 人はこれを活用する クラッククライミングなどと洒落た名をつけ このニッチには たくさんの手足がねじ込まれる 最高位の生態的地位を獲得したホモサピエンスは あらゆるニッチで遊ぶ生... 続きをみる

  • おしゃべり

    心地よい規則正しさなれど 定規でひいていない線がよい 正面で見るのもよいが 屈んで見上げるとまた違った顔が楽しめる しばし眺めていると ワイワイガヤガヤ 賑やかな話し声が聞こえてくる

  • セントラルドグマ

      ♩ ♩ ♩  ミミズだって  オケラだって  アメンボだって         ♩ ♩ ♩ すべての生命は共通の仕組みで成る 複製、転写、翻訳 この教義は一方的で絶対的である 分裂には複製が必要だ 設計図だけでは製造はできない 転写された鋳型が必要である 鋳型は「生」の素を製造する この教義は教... 続きをみる

  • 焼木

    焼かれちまった この間の山焼きで でも もうちょっと頑張ってみるよ

  • 青白

    多くの人は 3つの波長に対応する視細胞で光を感知しているそうな 青、緑、赤 たった3つで世界の色をとらえている 青は空と水 緑は草木、森 赤は木の実に炎、そして顔色 進化の理由は理解できそうだ 黄、オレンジ、ピンク・・・etc それらは3つの混色で知覚する この景観は実にシンプル まことに心地良し... 続きをみる

  • 4月のウサギ

    4月の鈴北岳 この時期、こんなに雪が残るのは何年ぶりだろう 硬い残雪を蹴り込みながら頂を目指した 頂上手前の斜面の林に ウサギが潜んでいた 冬毛のウサギの上に夏毛のも この2羽が見えるようなら 私と同じ 視覚的妄想能力ありです

  • 4月の羽ばたき

    やはり雪には青空が似合います この景観にあなたは何を見るでしょう 枯山水 エイのヒレ グースの飛翔 僕には羽ばたくツバメが見えます 白いツバメが

  • 陣形3態

    1、横陣 2、雁行 3、方円 バイケイソウの芽生え これも春の鈴鹿の楽しみの一つ 2時間かかっても見に行きます 筍のようにニョッキリと生え出た 鮮緑の唐突感が好きなのです 可愛い陣形があちこちに競っています

  • 離別の場面

    「ごめんね、元気でね、おばさんの言うことよく聞くんだよ!」 「どうしたの? かあさん、行っちゃうの?」 「そう、母さんはね、これから遠くに行かなくちゃダメなの」 「遠くへ? もう会えないの?」 「ううん、きっと帰ってくるからね。それまでいい子で待っていてね」 「おいっ、あまり長くなると辛さが増すだ... 続きをみる

  • 福寿草(2)

    2011年3月11日 信じられないようなことが起こった 街が、畑が、港が、多くの命と営みが おまけに放射能だ この年、3月末から10日余り僕は福島県の田村市にいた 道端にはかわいいオオイヌノフグリが咲き 植物たちには変わらぬ春のようだった 阿武隈川ほとりの農道を歩いた 本作りの民家につきあたると ... 続きをみる

  • 福寿草

    雪解けの時期になると この花を見に2時間もかけて山を登る 鈴鹿北部の山では カレンフェルトのあちこちで クリアな黄色光を反射している 一輪であっても 数輪であっても その存在感は大きい それに惹かれて今年も登った 今日も地味な地面で黄色の反射が眩しかった

  • 金勝(こんぜ)のオブジェ

    古代の遺跡 古生物の化石 珍獣 巨人の手 新種のナメクジ 抽象アート ブースカの冠 威嚇 悲哀 藻掻き 卑屈 頓馬 思い付きの羅列です

  • 丸石と築山

    細かい粒子の土をサラ粉というらしい 水分を加えて固め球体に磨く 真砂も固めると花崗岩に戻るのだろか いや、これは磨いて球にしたのだろう サラ粉を造った時の副産物かも知れない 子供の好みそうな工作だ 子供は球体や曲線が好きなのだ 年月をかけて誰かが磨いた石の向こうにも 心地よい曲線が見える 誰がこさ... 続きをみる

  • 山の色気

    凛と冷えた林間を抜け トーミの頭に上がると 彼女は薄化粧で待っていた 柔らかい曲線と流れる縞模様 見惚れる山だ 浅間山 美の裏には色気がある

  • 岩窓

    大窓、小窓 著名な山の岩窓には名前がつくが これにはない しかし、この窓枠の向こうには それら窓に負けぬとびきりの色が広がる 額縁効果によって映える空は しばし見つめることで 遠近が逆になる ルビンの壺の如く 違う絵になるのが面白い

  • ウルトラQ

    子供の頃、番組の始まりに背筋がゾクッとしていた 怪奇・科学番組のオープニング映像 もちろん画面は白黒映像 2つの渦の動きと効果音がマッチし 相反する恐怖と期待が渦のように合わさる ガラモンやカネゴンはユーモラスである 怪奇で不思議な物語に ミスマッチながら愛嬌たっぷりなキャラクターが 子供心を惹き... 続きをみる

  • 顔紋様

    サルがいる ナマケモノがいる フクロウにカラス それにETも 薄暗い木陰で出会った倒木に 思わず後ずさり 頭の中に浮かんだ「怨念」は 1つ1つ像を結び そして生き物になる 群化の法則というものがある 目の前の世界にそれはない 時をおいても 集まる渦にまとまる世界は生じない 私たちには 見たいものを... 続きをみる

  • コーティング

    これは単なる霧氷ではない タテガミはない 特殊な技術で 昨夜のうちに仕込んでおいたのだ 地面の笹はそのままに 立木だけコーティングするのは 私の専売特許 ただ、舐めたって甘くはない うまい具合に空も濃くなってくれたから 化粧が映える 何の目的でと聞かれても困るんだが 遊んでみただけと言ってもいい ... 続きをみる

  • 鼻岩

    嗅覚は古くからの感覚である 視覚や聴覚よりも先輩だ 嗅球の受容体は神経そのもので 信号は中継を経ずに脳部位に伝わる 好意、愛情、攻撃、忌避 記憶と情動は刺激され 感情と行動を起こさせる マグマの噴出はこの地に渓谷を作った 1000万年以上も前のこと ひたすら水と木々と苔の匂いを嗅いできた 無表情で... 続きをみる

  • つられ笑い

    滝をもっと上から見てやろうと 対面の急な斜面を這い上がった 斜面上部で振り返った時 思わず笑みがこぼれてしまった 人間にはミラーニューロンシステムというものが備わっているらしい 他人の表情や動作を見ると 自分の脳の中でも同じことをするように 神経が働いているのだそうだ 思わず同じ表情をしたり 真似... 続きをみる

  • ラムネ菓子

    花崗岩の一枚岩を流れ落ちる滝の右岸を高巻き 真砂が埋める平地を流れる川端に立つ 先ほどから耳に入る口笛のような風音が 大きく聞こえるようになった 開けた滝の上で流れ吹く風の中 意識を集中させ 強弱に波打つ音の方向に視線を向けた時 小さな緑の円孔が視界に入った 音源だろうか まるでラムネ菓子を咥えて... 続きをみる

  • 十三仏

    大岩の根元には十三もの仏が 祀られる 岩の背後は山界 僕はそこから仏界に降りてきた 仏の集合地から続く長い石段 木漏れ日の演出の中 苔むした石仏が並ぶ異界を抜けると 竹林が風に洗われ コン、コーンと音の空洞が降ってくる ああ、人間界はもうすぐだ

  • テーブルマウンテンの木

    もちろんギニア高地ではありません ほんの身近にある森の中で見つけた切り株 朽ちた切り株と繁茂する苔 木漏れ日による陰影は 小さな世界を深く広げます どうですか? 麓の苔は熱帯林に 切り株は岩山に 見えてきませんか 新種の生き物も潜んでいそうでしょう 妄想を楽しむ対象は なんでもない足元にもあるのです

  • フレンチブルドッグ

    そんな顔で睨むなって ちょっとしたトラブルがあって 下りてくるのが遅れたんだ そもそも、おまえが一緒に登るのを 嫌がったからじゃないか それにしても雪も払わず よくじっと待っていたね さあ、機嫌を直して 一緒に帰ろう