hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

2022年5月のブログ記事

  • ビオトープ

    この人工の池には白い小ぶりな蓮の花が咲く 砥草がいかにも湿地を演出し雰囲気を作っている 蓮の葉と密集した砥草に トンボたちは羽根を休める場所に事欠かない ある時砥草に小さな赤トンボがとまっていた あれがハッチョウトンボと言うのだろうか 蓮にはチョウトンボ 緑の縦線に目が慣れるとあちこちに黄色い糸ト... 続きをみる

  • ケンケン山

    片足ケンケンでも登れる山 雉がたくさんいる山 と、言う訳ではありません 琵琶湖にある沖島にある山の名 標高200メートルほどの低山ながら 切り開かれた見晴広場からの眺望はなかなかのもの 広大な湖面を見下ろし 正面の比良連山は泳いで渡れると思うほど近い 山地の北端 リトル比良と呼ばれる山の尻尾を眺め... 続きをみる

  • 花崗岩の松

    俺A) これが生きるっちゅうことやな 俺B) う、...んっ? 急に何言い出すねん 俺A)あれ見たら感じたんや 俺B) どう言うふうに? 俺A)言葉ではうまいこと言われへん 俺B) ほお、感じたねえ。ところでお前いくつになった? 俺A)忘れた 俺B) 自分の歳忘れたってか? 俺A)ああ、忘れた 俺... 続きをみる

  • イカ

    近江の奥里 佐目(さめ)から高室山に登る ツヅラ坂ですぐ前を歩く同行者が言った 「イカが刺さってる!」 それは、まさにイカであった ※佐目集落には明智光秀の出身地とする口伝と文献が残るらしい。

  • ロープワーク

    エイトノット ブーリンノット ボーラインノット インクノット リーフノット スリップノット ひと結び ふた結び 巻き結び ねじ結び もやい結び 叶結び さて これは誰がした何結び?

  • 水虫退治

    「だれだ こんなところで足干ししてるのは!」 「ああ、あれは「金勝(こんぜ)の太郎」だよ」 「だれだ そいつは?」 「水虫退治してるに間に石になった間抜けな野郎さ」

  • 新緑に溺れる鯨

    ブナの尾根筋を抜け急勾配を登り切ると 南中の光を浴びる平原に出た 視界正面にはクジラが出ている 大雪の冬を堪えぬいた 若芽の柔らかい緑が目に優しい平原に 次元を超えてやってきたかのような突出である 郷里の半島にある小さな水族館に クジラの骨が展示されていた 広い部屋いっぱいに飾られた全身の骨格は ... 続きをみる

  • 火星の墓場

    朝の斜光を浴びたカレンフェルトは さながら異星の墓場 野晒しの骨骨の中に 頭骨が晒されている 岩は雨雪に磨かれ 墓砂と化す 墓石と骨はもはや 遺跡の遺物である 鳥のような河童のような 南の山波の遠くを見つめる あの頭骨はどんな生き物だったのだろう

  • 国見オオナマズ

    ナマズと言えば びわ湖オオナマズ びわ湖固有種で我が国最大のナマズ 今は希少魚である 国見岳 三国山などとともに 各地の国境の山に冠される名 近江と伊勢、尾張を望むこの国見岳の頂 こんな所にナマズが潜んでいた それはオオナマズのように岩床から 伊勢湾を眺めていた

  • 積み石の瞑想

    突き出した岩のテラスの上で瞑想をしている人を見たことがある 背筋を伸ばした胡座で無動だった なんとなく場にあった行為のように感じたものだ 坐禅の経験は多少ある しかし、無の境地やら 何かに目覚めるかのような経験はない それが環境のせいだったとしたら このテラスなど申し分のない場所ではないか ここな... 続きをみる

  • 比叡山

    黄色の帯の向こうに遠望するは比叡山 黄色は春の色 カラシナの黄が河川敷を埋め尽くすこの時期 土手をのんびり歩くのは気持ちが良い 比叡山は京滋にまたがる山 山容は琵琶湖越しに見る均整のとれた三角錐に軍配が上がる それは住宅団地にある我が家からも遠望できるものの やはり広い空と地の中で眺めるに越したこ... 続きをみる

  • 木曽駒ヶ岳

    雪のあるうちにと他力(ロープウェイ)を使って木曽駒ヶ岳へ 千畳敷はたっぷりと雪が残るが 斜面にはいくつもの生々しい落石があちこちに ヘルメットデビュー正解なり 稜線に出ると雪が無い アレレ やはり白山や立山とは雪量が違う アイゼンをしまい青空と無風の山頂へ 御嶽、乗鞍が朝の陽に照らされて浮かんでい... 続きをみる

  • 地蔵岩

    やっぱりな! 誰かが クレーンで乗せたんだ 証拠を押さえたぞ!!

  • トチの大木

    若葉を透過する光 柔らかく なんとも心地がよい 下から仰ぎ見るトチの葉は 手の平を目一杯広げた子どもの手のようだ 樹木の葉は 空気中から取り込んだ一成分と 太陽の光だけで 栄養を作り出す 緑葉の成分は工場だ そしてその正体は かつてのバクテリア 細胞内共生とは どちらが主導した戦略だろう 気の遠く... 続きをみる

  • 奥大日岳

    一の越の手前はガチガチでツルツル アイゼンの歯も負けそうなアイスバーンに 恐る恐るピッケルを突き刺し そろりと登った 陽は春だが空気は真冬 キリッと冷えている 室堂平と奥大日岳 曲線と陰影がなす絶妙なアート 余分な色もなし こういう景色を見ると 雪山の美の極致を感じる 今日は雄山をピストン さて、... 続きをみる

  • キース・ヘリング

    比良のヤケ山の下り 谷筋で気にかかった岩 どこかで見たように思うのだが 思い出せないでいた 先日ふらっと入った画廊で はたと思い出した キースヘリングの「Dog」だ ああ、スッキリした

  • フォロン

    花崗岩の山道の風化は 登山者が歩くことで その速度を上げ ハーフパイプ状にえぐられていた 人の背丈も流れた底の真砂に キャラメルのような四角い石が ぽつんと一つ転がっていた 石には顔があった 限りなく簡略化された顔 口、耳もなく 感情も抑えられている なのに、妙に親しみを感じたのは ジャン・ミッシ... 続きをみる

  • 半纏(はんてん)の親子

    見慣れぬ形と柔らかさに惹かれて シャッターを押しました 陽光に手の平をめいっぱい広げ 嬉しさと楽しさが溢れています チューリップを思わせる百合の木の葉 半纏に似る故、半纏木ともいうらしい そう言えば半纏の親子にも見えてきます 朝の散歩でこんな親子に出会うと 一日を元気に過ごせる気がしてきます 今日... 続きをみる

  • ポンポン山

    滅多に山頂の表示など写すことはないが今回は例外 かねてから登ってみたいと思いながら 40年近く脚を向けることのなかった山 先日ようやく登ってみた この愉快な山名の由来は 山頂付近を歩くと地面がポンポンと鳴ることによる 京都での学生時代 西京の大原野の山中にバイクを走らせ 辿り着いた所が善峯寺 奇妙... 続きをみる

  • マクロとミクロ

    高原の春は遅い 下界はもう蒸し始めているが 此処は春が始まったばかり 残雪の乗鞍岳を眺めながら 広大な高原を歩くと気分が良い 高原から仰ぎ見る乗鞍岳は 雪をまとい 足元にはタバコの葉を思わせる水芭蕉が 大きく葉を広げている 世界は遠く広く大きく視なければならない 世界は近く狭く小さく視なければなら... 続きをみる

  • 異界乗鞍南斜面

    おい、見てみろよ 坊主が踊ってるぞ! ええっ 坊主だって? ああ 白い坊主がご機嫌だろ! 出来上がってる 完全に 白いのは怪獣の方だろ! 怪獣? なるほどね 坊主が怪獣に腰を抜かしてるのかあ 坊主! 坊主!って? ああ、真ん中の白いやつね!

  • 蓼科山の刻字

    「大正五年」といえば むかしのむかし そのまたむかし 「五月十日」の山頂は晴れていただろうか 「登山隊」は何人だったのだろう その年齢と性別は? 黄色いキスリングは背負ったのだろうか 「蟹窪」とはいったいなんなのだ 足元の岩に発見した刻字は 僕の頭に遠い過去を浮かび上がらせる 判明した甲斐の地名の... 続きをみる

  • 津田山の大岩

    湖岸の里山を登ること1時間 湖側にせり出した岩のテラスに出る 青く穏やかな大湖のさざなみの向こうに 比良連山の屏風が立ち並ぶ ここは湖周の絶景ポイントの一つ 天候の保証と缶ビールの一本もあれば長居必定 右斜め足元には 輪状に広げる美形木の向こうに沖島が浮かぶ 淡水湖にある日本唯一の有人島 集落が見... 続きをみる

  • 時空の窓

    昨夜の風の置き土産 ラムネのようなトンネルは 何処に繋がるのか 中に入れば 昨日や明日に行けるだろうか それとも もう一つの世界の自分に会えるのだろうか 出口までどれぐらいかかるのだろう? 色は? 形は? 稚拙な妄想は単純な妄信で閉じた あちらも美界であらねばならぬ、と こちらと同じように

  • うらじろ

    近江の里 桜が散った後の富士の麓 そこは地球外生命の大集合地となる ひしめき合ったそれたちは 生き生きと生を喜び合ってにぎやかだ かわいくて愛らしいその生命たちは 友好的な性格で地球人には害を及ぼさない 春がすすみ その陽気に暑さも感じるようになるころ 彼らは一斉に翼を広げて飛翔を始める 高い木立... 続きをみる

  • サルトリイバラ

    平草原 「へいそうげん」 いい響きだ 郷里の半島にあり田辺湾を望む 文字通りの見晴らしの良い山 「山」を知ってしまった今では 丘と言っていいほどの山 春になると 母はこの丘の麓に子供たちを連れて行った サルトリイバラの葉や山菜を採るために 葉は餅を包む材料 柏の葉の代用である 大人になるまでこれが... 続きをみる

  • 巨大ミイラ

    下界は春 初夏の陽気も漂う時期 立山では 朝日を浴びて巨大なミイラ像が現れる 竜王の頭は天を仰ぎ 浄土に向けて身体が横たわる 地獄がある大きなすり鉢状の台地を取り囲む山々は 巨仏の風葬地であった

  • しぼ

    春になると雪渓の雪が溶け 表面を流れる 斜面を流れた雪解け水は 雪面を穿ち溝を作る こうしてつくられたいく筋もの模様を「しぼ」と言う こうなるともう滑走は困難だ えっちらおっちら 雪面を照り返す紫外線に灼かれながら 登ってきた努力は報われない しかし、考え方を変えてみる ちょっといつもと違った惑星... 続きをみる

  • ゼブラ山

    加賀の白山は 残雪期の無謀な初登山以来好きになった山 もうかれこれ40年が経つ 本峰はもとより 副兵の別山がよい 端正な三角 どっしりとした座り構え 長く蛇行する尾根 眺めて惚れ惚れする気品がある なかでも残雪期のものがよい 初めて見た時に名付けた「ゼブラ山」 体側の縞模様が見事だ 慣れぬ雪にへば... 続きをみる

  • 薄化粧

    皐月に名残の粉雪で 常念坊が薄化粧 塗ったばかりの白粉は 朝日に照って純白で ああ、見事な仕上がりなり

  • ゲンコツ

    地表を突き破るゲンコツ 気力みなぎる力強さだ 何に怒るのか 何を訴えるのか 何を決意したか この山頂の平原で 意味はわからぬが 青空の下の大きな拳が へばった僕を力付けてくれた