hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

サルトリイバラ



平草原
「へいそうげん」
いい響きだ
郷里の半島にあり田辺湾を望む
文字通りの見晴らしの良い山
「山」を知ってしまった今では
丘と言っていいほどの山


春になると
母はこの丘の麓に子供たちを連れて行った
サルトリイバラの葉や山菜を採るために
葉は餅を包む材料
柏の葉の代用である
大人になるまでこれが柏餅だった


この植物
山に入ると厄介だ
蔓に備えた棘が衣類に絡みつき
着衣を通り皮膚に刺さる
山林の刈払いをしていると胴に巻きつき
剥がし取るのに苦労した
苛立ちまぎれに荒く扱うと
ムチの仕返しをくらう
剪定鋏で細切れに刻んでやる
ざまをみろ


しかし、気が落ち着くと
罪悪と郷愁が混じる動揺が始まるのだった