hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

2023年2月のブログ記事

  • 御池岳

    軍艦と呼ばれることもある 台形の大きな山だ 上辺にはカルストの台地が広がる 点在するカレンフェルトは 墓石と言うより庭園の置き石のようである 積雪時には白砂の寺院庭園さながら 残雪時には白兎に黒兎、白燕など雪形が賑やかである 台地の一頂点である鈴北岳からの眺望は鈴鹿一 北部の眺めに優れ霊仙山と伊吹... 続きをみる

  • 霊仙山

    深く雪が積もった冬 何度かスキーをつけて登った 峠に上がる斜面には北畑の廃村 唯一残る小さな寺にも厚い雪がかぶっていた 樹上に猿の群れ 真冬のそれらは愛おしく胸を締め付けさえする ブナの尾根を過ぎ、笹峠に出る 峠から見上る南霊仙の斜面を前に 覚悟を決め一足一足板をすり上げ雪面にジグザグを刻む この... 続きをみる

  • 伊吹山

    登るにつれ辺りは暗くなる 八号目から上は雲の中 深い積雪に足取りは捗らない 立ち止まり上方を仰ぐと 黒雲のすぐ下を一頭のカモシカが目に入った 足が腹まで埋まる深雪の急斜面をゆっくりと横切って行った 寒気に冷えきったせい私が感じたのは 野生への感動でも自然の厳しさでもなく 胸を締め付けるほどの寂しさ... 続きをみる

  • 雲海の山

    夜明け前の無風に揺蕩い静かに下界を覆う 青く薄暗い視界に雲の海は谷を埋めていた 朝日がその高みを増すと蠢き始める白雲の群れ 斜面を舐め上がるそれはやがて岩塔を飲み込み 沸々と尾根に湧き上がる 私は足元を脅かす雲を眺めながら行く先の細尾根を眺めた 雲の先陣は西風に煽られ上空に巻き上がると 恨めしそう... 続きをみる

  • カール

    削ぎ取られた礫が流れる大斜面 中央の凹部に雪渓が流れ 流れを挟んでオレンジと濃赤の帯が沿う 広大な箕のような地形の底で見上げる秋は 絶妙の配置とコントラストの芸術劇場となる 赤が映える 黄が映える 緑が映える 色映えの下地は灰色の濃淡 配置の妙は岩が成し 圏谷の主役は岩であった モレーンの積み岩 ... 続きをみる

  • 岩戸山

    かつての旗振り中継地、岩戸山に立つ 岩に掘られた矢印の先は甲山 背後は霞の帯に浮かぶ比叡山 旗振り基点はその遥か向こうにある 米の相場は堂島を発し 平野に点在する孤立丘を伝わる 野洲から此処に 荒神山、佐和山に そして終点長浜に 秋の実りの後には こんな壮大で愉快で緊迫した行事が待っていた 私は岩... 続きをみる

  • 太郎坊

    蒲生野に雪が降り積もり 街も田畑も白化粧 白い矩形の田畑の辺を車が流れ 雪面に浮かぶ霧も流れていった 大岩の上に立ち寒風を背に東空を見やると 鈴鹿全てが視野に収まり 眼前の白い平野の広がりはどこまでも続く 綿向山の背後に座る雨乞岳はいっそう白く 御池岳の山肌は流れる白縞が心地良い 赤神の御心は寛大... 続きをみる

  • 雪稜

    緩やかな曲線を描く雪面と深く濃い青空 シンプルでいて十分な色の2元世界 青白の境の心地よい曲線に向かって 風に洗われたまっさらな雪面を登る快感 雪庇の曲線は生理的な快を生起し 踏み込む一歩を躊躇わす 汚さぬようにと吹き付ける横風に抗い回り道 厳しく鋭い襞状の風紋を踏み進む 私はこの世界を変える存在... 続きをみる