hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

2022年9月のブログ記事

  • ケルンアート

    美ヶ原に奇妙な地名あり 王ヶ頭(おうがとう)に、王ヶ鼻(おうがはな) 台地が王様でその頭と鼻、ということなのか なぜに美ヶ原が王なのか 由来は知らねどそこから望む山々の見晴らしは良い とりわけ大地の突端にせり出した王ヶ鼻は 北アルプス方面の遠望に優れる ちょいと外れにあるので頭のように目障りな建物... 続きをみる

  • 美の原理

    気持ちの良い秋晴れに並ぶ岩 ゴリラとフランケンシュタインに見えないこともないが なんと言うことのない岩 だけど何かしら 心地よさを感じる 形が良い 並び姿が元気だ 空は青くて 足元は盛る紅葉に深い緑 明快さは生理的な心地よさを生む グループ化(群化の法則) 単離(対象の強調、以外の低減) ピークシ... 続きをみる

  • 修験者

    錦秋の月山で修験者の一団に会った 登山靴やリュックは一見ミスマッチながら 白装束で木の杖を持つ姿はなんとも厳粛な雰囲気を持つ 中には鼻下、顎に立派な白髭を蓄えた年配者がいたりするとより一層厳かである 以前御嶽山では「六根清浄」を唱和しながら登る一団を見かけたこともある 身近では、散歩先の里山で法螺... 続きをみる

  • 表銀座

    後方の名峰に張り合うかのように屹立する岩峰 此処を起点に これから奥の先鋒まで歩く 空気は澄み凛と冷える 見渡す周囲の頂の薄化粧が朝の斜光に輝き 薄白にオレンジの色重ねは朝の目に暖かい 長い尾根道を進むとあたりの化粧はいつの間にか溶け 地肌が昨日までの色に戻っている 左右に切れる細い尾根の東面に ... 続きをみる

  • 双六岳

    双六岳の砂漠を歩いた 緩い半円丘に上がり水平道で振り返ると まさにこの山ならではの景観があった 円と三角錐 緩い曲線と鋭角な岩峰 対照的な山の景観で知られた地 再び向き直り頂上を目指す どこがトップかわからぬが 早く登ってこいと 雲が催促していた

  • 双耳峰

    双耳峰として思い浮かぶのは 鹿島槍に谷川岳 それにこの山 それぞれ単独の山としてあるものの こうして見る限り 二山に勝る立派な双耳峰である 大きな山だ 澄んだ秋の空気の高山の稜線は気持ちが良い 長い道のりも苦にならない この先、南岳を下り天狗原に出る モレーン末端の池あたりから仰ぎ見る片耳は 見事... 続きをみる

  • 流れる秋

    錦秋とはよく言ったものだ 錦の敷物を敷き詰めた斜面に 分厚い雲の間から陽が差し込んだ 錦の尾根に扇状谷が「流れ」を作る 雲間に差し込む刹那の光景は 晴天下のそれよりも迫力で印象が強い ここは立山、雷鳥沢 三山縦走後に下った沢で見事な秋に会い 足の疲れを忘れてしまった

  • 影常念

    夜明け前に小屋を出た 今朝の目的は登る朝日の反対側 澄んだ空気の中、紅葉期の赤みを帯びた槍がドンと迎えてくれた 私は今、ピラミダルな影の頂点にいる 朝日を浴びて背中が暖かい しばらくの間、岩に座して眺めていると 影の背は縮んでいった そろそろ僕は影の頂を下ろうと思う さて、どちらの辺を下ろうか 1... 続きをみる

  • 鈴鹿の鹿

    三十数年前、山登りを始めて数年経った頃、鈴鹿の雪山の峠で一服しているとすぐ数メートルの眼前を立派な角のある鹿が雪を蹴って跳ね去った。 野生との出会いの感動の一瞬で、厳しい環境に生きる生命の厳かさを感じる瞬間だった。 その後、登ったあちこちの山で出会ってきた鹿。今では増えすぎて駆除対象の害獣扱いとな... 続きをみる

  • 山小屋の風呂

    御嶽山でのこと。頂上には昼の早い時間に着いた。このまま頂上付近の小屋に泊ったのでは時間をもてあます。そこで五の池まで足をのばし、そこの小屋に泊ることにした。 頂上より賽の河原を経て五の池方面に。下りとはいえほどほどの疲れが出ていた。小屋に着きやれやれ。土間を箒で掃いているおじさんに宿泊を申し入れた... 続きをみる

  • 剱岳

    一の越から雄山に登り別山まで縦走してきた 秋の澄んだ空気に明瞭な威厳を表していた剱岳 ようやく近づいたかと思うといけずをして霧の中 濃さを増すにつれ諦め下ろうかと思っていると うっすらと八峰の一部が明けきた ドキリとした 2列の支尾根がゴジラの背だった 背ビレが霧の中で動いた まさか剱岳の正体はゴ... 続きをみる

  • 黒部三山

    黒部三山と勝手に名付けた 三俣蓮華岳からの三山の並びが気に入っている 鷲羽岳、ワリモ岳、水晶岳 北アルプスの奥、ど真ん中と言ってもいい 黒川源流の山々 谷底は黒部川の源流 頂上から下界を俯瞰するのもいいが 僕はやはり山の連なりを見るのが好きだ それもこのような立派なのが並んだものが 形よし、配置よ... 続きをみる

  • 黒部五郎岳

    僕の縦走計画を聞いた知人は言った 「黒部五郎のカールではしっかり時間を取りなさいよ!」 山頂からカールに降りると知人の言った意味がよくわかった すばらしい庭園だった 岩の形と配置が絶妙で禅の香りも感じる空間 まるで誰か達人がコーディネイトしたかのような気持ちの良いすり鉢の中の庭 小一時間そこに浸っ... 続きをみる

  • 薬師岳のコアラ

    薬師は大きい山だと聞いていた 太郎平から北ノ俣岳に向かう尾根から見たそれは その通りのどっしりとした見事な座姿だった これは山の写真を始めた頃の気に入りの薬師岳 実際に登ってみるとさらに大きさが体感できる 久しぶりにこの写真を見た時 山頂近くのコアラに気づいた 何度も見てきた画像なのに ある時ふと... 続きをみる

  • ナナカマド

    「富士には月見草がよく似合う」                太宰治 「白山にはナナカマドの実がよく似合う」                私

  • 山と匂い



    雪に匂いはあるだろうか。雪の降らない故郷を出て以来幾度も降り積もる雪を体験し、また雪山に登るようになって20年以上が経つが雪というものの匂いを感じたことはない。雨に匂いを感じてこなかったように。 しかし、どうも雪には匂いがあるようなのだ。
 長男が5歳になるかどうかという時のこと。その年のまだ雪が... 続きをみる

  • 山と聞こえ

    

山を登っていてあるところまで登るとそれまで聞こえていた下界の音がすっと聞こえなくなる。逆に山頂から降りていてあるところまで降りると急に電車や車の音が聞こえ出すということがある。聞こえる聞こえないの境目が割とはっきりしているのだ。 空気の振動が山の斜面を這い上がるうちに拡散消滅、または上からの風... 続きをみる

  • 見るということ(覚え書き)

    夕暮れの尾根で見る広大なスクリーン一面の赤、夏の濃緑と雪渓の白に空の青、山腹の花畑に咲くチングルマの白やフウロの薄紫、深い暗闇にきらめきながら降って来る星々、山で見る光景と色には強く心を動かされる。それが山登りという行為への最大の動機であろう。 内に深く作用する世界は単に視覚だけによるものでないこ... 続きをみる

  • 霊仙の遺跡

    廃村の今畑より登り笹峠でいっぷく 南霊仙山頂への急登の中ほどにこの遺跡がある 神事に被るマスクのような顔 未知な動物の骨 辺りはこのような出土物が無数に晒されている 石灰岩の墓跡群が風化されたなれの果て 荒涼感さえ感じる斜面の遺跡は 朝陽の中、人知れず琵琶湖を遠望する

  • 石波

    時が止まり 物質の相転移が起こった 斜面を這い上がる波は石化し 地の隆起とともに平野を見下ろす尾根となる 琵琶湖を見下ろす此処には 長い旅路の過去が今も残っている ※琵琶湖はおよそ400万年前より三重県伊賀の地から現在の地まで移動してきたとのこと

  • バランス遊び

    ロックバランシングという石積みアートがある これを見た時そのアートのことを思い出した 足指に大きな岩を乗せてバランスを取っている 誰かがバランス遊びをしているよう 隣の松も呼応してクネっているのがまた面白い 青空下のなんとも陽気な光景に下山の脚を止めて微笑んでしまった

  • 近江の珍景

    何なのだろう? 多分、「左義長」関連のつくりものだとは思うんですが... 以前の勤め先にあったモニュメント 同僚は「ジブリ」と呼んでいたけどジブリに関係あるものなのかな? 近江八幡の河原ミュージアムの枝垂桜の下にあった顔 ユーモラスでかわいい 以上3枚、組写真とし写真展に応募しましたが選外でした ... 続きをみる

  • 山頂のスッポン

    隣の国見岳の頂上近くにはナマズがいた こっちの頂上にはスッポン 西の峠をみじろぎひとつせず見張っている 鈴鹿御在所岳の番人は2匹の亀さんでした 亀といえば外来種アカミミガメがこのほど特定外来生物に指定され 野外放出の規制や駆除がより進められるようである 滋賀県でも湖沼や川ででよく見かける 以前、琵... 続きをみる

  • アンクルトリス

    鈴鹿、武平峠より御在所岳に登る 半ばにあるガレ場の岩頭に立つと 谷を挟んだ向こう斜面にウイスキーの顔があった あのおじさんの名は「アンクルトリス」 この間、アンクルトリスの絵が欲しくてトリスクラシックを買った 中身はもちろん数日で無くなり、今は瓶だけを飾っている 日頃からウイスキーを愛飲している ... 続きをみる

  • 明けの明星

    山頂から東の空を望む あの立派な輝きは我が星の兄弟、金星だろうか もう間も無く光の源球が茜の縁から登ってくる そうすればあの星の輝きは青空に溺れ消え 地上の街の灯も白光にのまれてしまうだろう この刹那の光景を見る間 展望者の心は寝起きの揺らぎを鎮め、感度を研ぐ そして、星も街の灯りも消えた後 リセ... 続きをみる

  • 霧のブナ林

    もうかれこれ30分  霧の中を歩いている ブナ林に入った 幻想的でありとても趣きがある 晴れているよりいいかも と、思ったもののなんとなく不安にもなった この先この霧界を進んで良いものか 戻れるのだろうか 何かが出てきたらどうしよう この先が、今日でなかったらどうしよう 山頂も霧の中だった そして... 続きをみる

  • 長新太の絵本

    「んっ 歯が痛むの?   どれどれ口をあけてごらん」 「あ〜ん イタッ イタッ」 「ほお 奥歯が虫食っておるわい こんな山の中に甘いものでもあるのかね?」 「甘かったよ 登山者が落とした茶色い板」 「それはチョコレートというのじゃ」 「チョコレット?」 「チヨコレイト!」 「ところでおじさん、おじ... 続きをみる

  • お供え物

    神社の祠への参道沿いにあったお供え物 なんとも可愛らしくて微笑ましい 行為の主は子供かな でなければ、その心を持った誰かでしょう

  • 門前の水滴

    寺の入り口の水鉢に一輪 蓮の蕾が伸びていた ハッとした 蕾の先の水滴の清々しさは まさに開かんとするこの期にふさわしい輝き 門前に咲く一輪の澄んだピンクの大輪 その絵を頭に描き門をくぐった

  • チョッキリ

    8月の末から9月に入る頃、森の散歩道に木の葉付きのドングリが落ち始める。あるコナラの樹下の地面は、落とされた葉とドングリで敷き詰められている。それらは落葉ではなく木の病気によるものでもない、犯人はチョッキリだ。 チョッキリはゾウムシの仲間。僕が散歩する森で見かけるコナラの実を落とすチョッキリは灰色... 続きをみる