hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

光塵



雑木が両側から生い茂り屋根を作る林道
角を回ると見通しの良い直線に出た
薄暗い林道の先に光の柱が一本
歩を進め近づくと光柱の中に無数の点滅する光が舞う
ゆっくりとゆっくりと煌めく映像
やがて光の粒は波のように密度を変え舞い落ちる
まるでイリュージョンのようであった


光の差し込む林道の天井に目をやると
二羽の小鳥が目に入った
一羽がもう一羽を追うように日の当たる雑木の枝を飛び移る
その度に落ちる光の粒
メジロの仕業だった


光の中に戯れるメジロと光塵
メルヘンチックで幻想的な光景
やがて光はすべて落ち終え光柱は消えた
視線を上げるとすでに枝の揺れはなく
メジロの姿も消えていた


私は儚いイリュージョンの跡を通り過ぎる時ふと思った
メジロの所業は差し込む光が作る舞台を知った上でのことだった、と