hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

伊吹山


登るにつれ辺りは暗くなる
八号目から上は雲の中
深い積雪に足取りは捗らない
立ち止まり上方を仰ぐと
黒雲のすぐ下を一頭のカモシカが目に入った
足が腹まで埋まる深雪の急斜面をゆっくりと横切って行った
寒気に冷えきったせい私が感じたのは
野生への感動でも自然の厳しさでもなく
胸を締め付けるほどの寂しさだった


毎冬、積雪が満てばスキーで登った
全く人に会わぬ日もあった
視界の効かない霧や雪の山頂にひとり
雪山への衝動の裏側には不安が
情熱の裏には寂しさがあったのは確かなこと
下山すればまた独りで出かける
そんな繰り返しの中
あのカモシカに自分を投影したということなのだろうか