hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

新緑に溺れる鯨



ブナの尾根筋を抜け急勾配を登り切ると
南中の光を浴びる平原に出た
視界正面にはクジラが出ている


大雪の冬を堪えぬいた
若芽の柔らかい緑が目に優しい平原に
次元を超えてやってきたかのような突出である


郷里の半島にある小さな水族館に
クジラの骨が展示されていた
広い部屋いっぱいに飾られた全身の骨格は
子供の目だと言うことを差し引いても大きなものだったと思う
ナガスクジラかシロナガスクジラのものだったと記憶するがそのへんはあやしい
我が家の食卓と給食で親しんだ味とその骨格標本は
クジラへの忘れられぬ思い出である


目の前のクジラ
マッコウクジラのようだが
深海を狩場とするあれが何故に新緑の山頂にいるか


突き出たと見るも
溺れているように見えないこともない


見方、見え方、それに連想を楽しむ山
そういう山歩きにはまり
奇岩を求めては歩いています