新緑に溺れる鯨
ブナの尾根筋を抜け急勾配を登り切ると
南中の光を浴びる平原に出た
視界正面にはクジラが出ている
大雪の冬を堪えぬいた
若芽の柔らかい緑が目に優しい平原に
次元を超えてやってきたかのような突出である
郷里の半島にある小さな水族館に
クジラの骨が展示されていた
広い部屋いっぱいに飾られた全身の骨格は
子供の目だと言うことを差し引いても大きなものだったと思う
ナガスクジラかシロナガスクジラのものだったと記憶するがそのへんはあやしい
我が家の食卓と給食で親しんだ味とその骨格標本は
クジラへの忘れられぬ思い出である
目の前のクジラ
マッコウクジラのようだが
深海を狩場とするあれが何故に新緑の山頂にいるか
突き出たと見るも
溺れているように見えないこともない
見方、見え方、それに連想を楽しむ山
そういう山歩きにはまり
奇岩を求めては歩いています
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