八幡山
八幡山
二の丸
登山道はふかふかの落ち葉道
神社の裏手を尾根まで登ると小楢の大木が待っていた
木々の間は明るく気持ち良い尾根道が続く
苔むした石垣の立ち上がり
一輪のショウジョウバカマが木漏れ日に首を伸ばし
冬の終わりを宣言していた
瑞龍寺境内の切り開きに立つと一気に世界は広がり
下界を眺める心内に城主秀次の心境が想像される
北の丸
枯れ茶色の葦原に縁取られ
湿地を思わせる穏やかな西の湖
その向こうに霞んだ霊仙山が浮く
麓の満開桜の賑わいをよそに
山頂の此処は静かな春が流れている
東に青霞む大きな屏風の比良連山
整然と区分りされた田畑に麦の緑が鮮やかだ
その二つの帯で挟むように
雨の濁りに湖岸が縁取られた琵琶湖があった
最上段の比良が一番手前にせり出している
長命寺山とこの山の森に挟まれた狭い景観は
見事に遠近を逆転させていた
西の丸
開けた視野は本来の遠近を取り戻し
いつものパノラマに目の違和感はない
南の湖に二重に平地が突出させるは河川の力
孤立丘が一つ先端にきれいな編笠をかぶせている
湖は後方に霞む編笠の比叡山の長い裾野の端まで続き
平野はまことに広い
湖面に立つ白波とウインドサーフィンの疾走に風が見えた
出丸
城跡の石垣は野面積み
真ん中にヤマザクラの大木が張り付くように生える
根は石垣の隙間を這い潜り
古く不安定な石垣を編み込んでいた
平野は蒲生野まで続く
甲賀に続く水平は深く遥かに鈴鹿山地の南端を望む
東の正面には対になった孤立丘
その真ん中に綿向山が鎮座する
格子に整えられた町の塊が平らな地に貼り付き
田畑も街も直線で整然と区画分けされた平野を
区画に沿ってまっすぐに新幹線が横切っていった
それは静止した空間に時間を引いているかのようだった
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