hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

アサギマダラ

 

                  画像   ーウイキペディアより拝借



 夏の白山、南竜山荘の玄関前でのこと。近くにいた父子の父親の方が目の前の草に飛来した蝶を見て誰に聞くともなしに「何て言う蝶だろ?」と言った。そばにいた僕はすかさず「アサギマダラ」と答えていた。するとその父親は「ああ、そういえば浅黄色っていうのがあるな・・・」と僕の方も向かずにつぶやいて離れていった。
それだけの何でもない場面のことではあるが、その後にアサギマダラを見るたびに思い出すのである。
 


アサギマダラは込み入った黒の縁取りの中に淡い浅黄色が配色された穏やかなステンドグラスのような蝶で僕の好きな蝶でもある。鮮やかで目を見張る光沢の緑アゲハやルリアゲハのように主張があるわけではないが、全体的にシックながらやさしく目を惹きつける魅力がある蝶である。
 


この蝶、渡りをすることで有名でもある。その渡りの行動は北は北海道から南は台湾あたりにまで至る。その距離200キロメートルにも及ぶ。春から夏に本州を北上し標高の高い山地で繁殖し冬は暖かい地に南下するそうだ。
以前、比良山の八雲が原でこの蝶の調査捕獲がされているという新聞記事を読んだことがある。
捕獲して羽にマーキングし放つ。その後移動先の地で捕獲されたものから行動範囲を調べる。このようにして上記の渡りの範囲がわかってきたようだ。八雲が原では僕もアサギマダラをみたことがある。北上中だったのか南下中だったのかはわからないが滋賀県の八雲が原はちょうど渡りの中間点だ。
あんな小さな生き物が場合によってはその後1000キロもの距離を飛ぶのかと思うと愛おしくも感じてくる。



蝶をはじめ昆虫は紫外線が見えているらしい。鳥は紫外線も地磁気も感知できるらしい。紫外線はさておき、地磁気は方位を知る手立てとなる。アサギマダラは地磁気を感知しそれを頼りに渡りをしているのだろうか。北海道や本州の高地で生まれたものは地磁気で飛んでいくべき方向を決めているのか。
しかし、蝶に地磁気を感知する器官があるとは聞いたことも読んだこともない。地磁気ではなくただ風に乗っているだけなのだろうか。もしそうなら北上するには偏西風や海流の影響を受けることができるかとは考えるが、南下は困難なはず・・・。台風の風に乗る? などと想像するにアサギマダラに限らず生き物の能力と行動の不思議が深まる。
 


秋、行きつけの自然公園でフジバカマにとまるアサギマダラを見つけることがある。この先の道のりはまだ遥か。存分に栄養を補給しなければならない。次の栄養補給地を目指して。