hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

オオセンチコガネ


山道で春から秋にかけて見かける2センチ前後の丸っこい甲虫。体色は複数あり瑠璃色の個体もあるが緑やエンジ色のものもある。

いづれも光沢の良いメタリックな甲冑を身にまとい、陽の光を浴びると宝石さながらだ。


こうした金属光沢の色彩は構造色と呼ばれていて、ネット情報によると「光の波長あるいはそれ以下の微細構造による、分光に由来する発色現象」だとのこと。

見る角度によって色が変化するのも特徴で、タマムシやカナブンなども同じ仕組みのものらしい。


ところでこのコガネムシ、主食は動物の糞や腐肉だそうで、糞を転がして運ぶ技ももっている。アフリカのフンコロガシのようなことをしているのだ。

このことを知ってから山道で出会ったときに気やすく手をのばすことにためらいを覚えるようになった。


しかし、登山道ではしばしば登山者に踏まれて死んでいるものも目にする。無残な屍が放つ輝きは悲しい。だから彼らを登山道で見つけると摘まんで草木の中に投げやるようになった。


動物の糞は、結構登山道の石の上などにあることが多い。そこに彼らが集まるので1匹を見つけるとすぐ近くに2、3匹いる。見つけるたびに摘まんで投げる。


つい先日もわずか5メートほどの区間で3匹の命を救った。

3匹とも僕が摘まもうと指を伸ばすと後ずさりをする。丸い宝石が後ずさりする動作は糞虫であることなどすっかり忘れさせるほどかわいらしい。かまわず摘まんで笹原に投げ入れた。


しかし、その先では2匹がすでに石に張り付いていた。


山登りは足元をよく見て歩きたいものである。我が身の安全だけでなく足元の宝石(命)の安全のためにも。