hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

乗鞍岳


位が原までくると息切れが強くなった
1から50カウント
そして1から10カウントへ
肩の小屋に向けて
スキー板をスライドする動作の連続は
登るにつれ途切れ途切れとなる


胸の鼓動が上着を揺らすとまで言えば大袈裟か
立ち止まる度前屈みで数回喘ぎ
そして大きく長い息を吐く
反動で吸い込む空気にようやくまともな吐息が出来た


そんな登高の繰り返し
頭の中はいつの間にか空洞となる
苦しさが緩む頃頂上に続く鞍部に出た
剣ヶ峰に続く朝日岳斜面を越え登頂
山頂の祠からの視野は広く高く澄み
私は球界の真ん中にいた


肩の小屋からの雪面は凍り
スキー板が走り過ぎるのを懸命に抑え台地に戻る
位が原からの降り口に立つ頃山頂上空の黒雲に閃光が走った
私は逃げる様に滑り降りた
まばらな粉雪はやがて視界を奪わんばかりの様
降り頻る雪の中、残りのゲレンデを降りきった私は
安堵しスキーを外した