hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

燕岳


迎える朝日は奇岩をオレンジに照らし
頬刺す冷気の中それは暖かだった
遠望するアルプスの山々は薄白の肌を輝かせ
寒々しい頂群も温められていた


花崗岩の巨岩の大きな壁に陽光が当たり
私の幻影が映し出されていた
私は手を振ってみた
呼応するようにそれは手を振った
影の動作は妙に嬉しそうだった


丸い奇岩が続くざれた真砂の道
温められた石門を通る登山者は城壁を目指し
見下ろす私の眼差しは陽光のように暖かい
私は彼らを迎え、そして城を下る
女王の城は入れ替わる登山者に賑わうことだろう


山頂を下る私の視界はどこまでも広く
岩塔の向こうに連なる槍穂高も白い
遠望するそれは遥か彼方
私はこれからそこを目指して歩く