hiroshi63のブログ

山と妄想あそび

hiroshi63のブログの新着ブログ記事

  • ポンポン山

    滅多に山頂の表示など写すことはないが今回は例外 かねてから登ってみたいと思いながら 40年近く脚を向けることのなかった山 先日ようやく登ってみた この愉快な山名の由来は 山頂付近を歩くと地面がポンポンと鳴ることによる 京都での学生時代 西京の大原野の山中にバイクを走らせ 辿り着いた所が善峯寺 奇妙... 続きをみる

  • マクロとミクロ

    高原の春は遅い 下界はもう蒸し始めているが 此処は春が始まったばかり 残雪の乗鞍岳を眺めながら 広大な高原を歩くと気分が良い 高原から仰ぎ見る乗鞍岳は 雪をまとい 足元にはタバコの葉を思わせる水芭蕉が 大きく葉を広げている 世界は遠く広く大きく視なければならない 世界は近く狭く小さく視なければなら... 続きをみる

  • 異界乗鞍南斜面

    おい、見てみろよ 坊主が踊ってるぞ! ええっ 坊主だって? ああ 白い坊主がご機嫌だろ! 出来上がってる 完全に 白いのは怪獣の方だろ! 怪獣? なるほどね 坊主が怪獣に腰を抜かしてるのかあ 坊主! 坊主!って? ああ、真ん中の白いやつね!

  • 蓼科山の刻字

    「大正五年」といえば むかしのむかし そのまたむかし 「五月十日」の山頂は晴れていただろうか 「登山隊」は何人だったのだろう その年齢と性別は? 黄色いキスリングは背負ったのだろうか 「蟹窪」とはいったいなんなのだ 足元の岩に発見した刻字は 僕の頭に遠い過去を浮かび上がらせる 判明した甲斐の地名の... 続きをみる

  • 津田山の大岩

    湖岸の里山を登ること1時間 湖側にせり出した岩のテラスに出る 青く穏やかな大湖のさざなみの向こうに 比良連山の屏風が立ち並ぶ ここは湖周の絶景ポイントの一つ 天候の保証と缶ビールの一本もあれば長居必定 右斜め足元には 輪状に広げる美形木の向こうに沖島が浮かぶ 淡水湖にある日本唯一の有人島 集落が見... 続きをみる

  • 時空の窓

    昨夜の風の置き土産 ラムネのようなトンネルは 何処に繋がるのか 中に入れば 昨日や明日に行けるだろうか それとも もう一つの世界の自分に会えるのだろうか 出口までどれぐらいかかるのだろう? 色は? 形は? 稚拙な妄想は単純な妄信で閉じた あちらも美界であらねばならぬ、と こちらと同じように

  • うらじろ

    近江の里 桜が散った後の富士の麓 そこは地球外生命の大集合地となる ひしめき合ったそれたちは 生き生きと生を喜び合ってにぎやかだ かわいくて愛らしいその生命たちは 友好的な性格で地球人には害を及ぼさない 春がすすみ その陽気に暑さも感じるようになるころ 彼らは一斉に翼を広げて飛翔を始める 高い木立... 続きをみる

  • サルトリイバラ

    平草原 「へいそうげん」 いい響きだ 郷里の半島にあり田辺湾を望む 文字通りの見晴らしの良い山 「山」を知ってしまった今では 丘と言っていいほどの山 春になると 母はこの丘の麓に子供たちを連れて行った サルトリイバラの葉や山菜を採るために 葉は餅を包む材料 柏の葉の代用である 大人になるまでこれが... 続きをみる

  • 巨大ミイラ

    下界は春 初夏の陽気も漂う時期 立山では 朝日を浴びて巨大なミイラ像が現れる 竜王の頭は天を仰ぎ 浄土に向けて身体が横たわる 地獄がある大きなすり鉢状の台地を取り囲む山々は 巨仏の風葬地であった

  • しぼ

    春になると雪渓の雪が溶け 表面を流れる 斜面を流れた雪解け水は 雪面を穿ち溝を作る こうしてつくられたいく筋もの模様を「しぼ」と言う こうなるともう滑走は困難だ えっちらおっちら 雪面を照り返す紫外線に灼かれながら 登ってきた努力は報われない しかし、考え方を変えてみる ちょっといつもと違った惑星... 続きをみる

  • ゼブラ山

    加賀の白山は 残雪期の無謀な初登山以来好きになった山 もうかれこれ40年が経つ 本峰はもとより 副兵の別山がよい 端正な三角 どっしりとした座り構え 長く蛇行する尾根 眺めて惚れ惚れする気品がある なかでも残雪期のものがよい 初めて見た時に名付けた「ゼブラ山」 体側の縞模様が見事だ 慣れぬ雪にへば... 続きをみる

  • 薄化粧

    皐月に名残の粉雪で 常念坊が薄化粧 塗ったばかりの白粉は 朝日に照って純白で ああ、見事な仕上がりなり

  • ゲンコツ

    地表を突き破るゲンコツ 気力みなぎる力強さだ 何に怒るのか 何を訴えるのか 何を決意したか この山頂の平原で 意味はわからぬが 青空の下の大きな拳が へばった僕を力付けてくれた

  • インディアン平原

    湖国をちょいと越境 越境先は敦賀の岩籠山 イワゴモリヤマと読む 越境と言っても敦賀は 明治の一時期は滋賀県だったとか 山頂直下にある笹原と奇岩の小さな台地を インディアン平原と言う 名付けの理由は 秋春2度登ってみても解らぬじまい 奇岩の上に立つと敦賀の街と湾が近い なるほどと合点がいく 敦賀、塩... 続きをみる

  • 国見の石門

    鍵穴の向こうにアカヤシオが映えていた 峠から登ってくる者たちを歓迎するかのように しかし 石門の鍵は何処にあるのでしょうか

  • 春リンドウ

    リンドウは好きな花 春に咲く小さな花が春山の楽しみのひとつ 鈴鹿の岩山で 登山道脇の草付きに咲いていた こんな色濃く瑞々しい花に出会うと このままガスっていてもいいか と、山頂直下の尾根で思った

  • 竜ヶ岳の修行僧

    かつて降雨を乞うて拝登された白竜の山 中腹にある重ね石のそばで もう数百年もひっそりと 僧が修行しているのをご存じだろうか その身体すでに樹木に覆われ山と一体となり 顔は石と化した そして今も ただただ目を閉じ ただただ無言に 修行を続けている

  • カマキリ

    カマキリに見えるのは 僕だけでしょうか 何か獲物を捉えています 獲物が雄でなければいいのに と思うのも 僕だけでしょうか

  • 先割れスプーン

    山頂から残雪の日本庭園を見下ろしながら 昼飯のカップ麺を食べる 携帯フォークでかき混ぜて ひと口すすった視線の先に 魔の手のような先割れスプーンがあった それはまさに木立の麺を掬い取ろうとしているところだった

  • ニッチ

    この言葉 生態的地位のことだと思っていた 建築用語では「くぼみ」 産業用語では「隙間」 の意味らしい ではこれもニッチだ 人はこれを活用する クラッククライミングなどと洒落た名をつけ このニッチには たくさんの手足がねじ込まれる 最高位の生態的地位を獲得したホモサピエンスは あらゆるニッチで遊ぶ生... 続きをみる

  • おしゃべり

    心地よい規則正しさなれど 定規でひいていない線がよい 正面で見るのもよいが 屈んで見上げるとまた違った顔が楽しめる しばし眺めていると ワイワイガヤガヤ 賑やかな話し声が聞こえてくる

  • セントラルドグマ

      ♩ ♩ ♩  ミミズだって  オケラだって  アメンボだって         ♩ ♩ ♩ すべての生命は共通の仕組みで成る 複製、転写、翻訳 この教義は一方的で絶対的である 分裂には複製が必要だ 設計図だけでは製造はできない 転写された鋳型が必要である 鋳型は「生」の素を製造する この教義は教... 続きをみる

  • 焼木

    焼かれちまった この間の山焼きで でも もうちょっと頑張ってみるよ

  • 青白

    多くの人は 3つの波長に対応する視細胞で光を感知しているそうな 青、緑、赤 たった3つで世界の色をとらえている 青は空と水 緑は草木、森 赤は木の実に炎、そして顔色 進化の理由は理解できそうだ 黄、オレンジ、ピンク・・・etc それらは3つの混色で知覚する この景観は実にシンプル まことに心地良し... 続きをみる

  • 4月のウサギ

    4月の鈴北岳 この時期、こんなに雪が残るのは何年ぶりだろう 硬い残雪を蹴り込みながら頂を目指した 頂上手前の斜面の林に ウサギが潜んでいた 冬毛のウサギの上に夏毛のも この2羽が見えるようなら 私と同じ 視覚的妄想能力ありです

  • 4月の羽ばたき

    やはり雪には青空が似合います この景観にあなたは何を見るでしょう 枯山水 エイのヒレ グースの飛翔 僕には羽ばたくツバメが見えます 白いツバメが

  • 陣形3態

    1、横陣 2、雁行 3、方円 バイケイソウの芽生え これも春の鈴鹿の楽しみの一つ 2時間かかっても見に行きます 筍のようにニョッキリと生え出た 鮮緑の唐突感が好きなのです 可愛い陣形があちこちに競っています

  • 離別の場面

    「ごめんね、元気でね、おばさんの言うことよく聞くんだよ!」 「どうしたの? かあさん、行っちゃうの?」 「そう、母さんはね、これから遠くに行かなくちゃダメなの」 「遠くへ? もう会えないの?」 「ううん、きっと帰ってくるからね。それまでいい子で待っていてね」 「おいっ、あまり長くなると辛さが増すだ... 続きをみる

  • 福寿草(2)

    2011年3月11日 信じられないようなことが起こった 街が、畑が、港が、多くの命と営みが おまけに放射能だ この年、3月末から10日余り僕は福島県の田村市にいた 道端にはかわいいオオイヌノフグリが咲き 植物たちには変わらぬ春のようだった 阿武隈川ほとりの農道を歩いた 本作りの民家につきあたると ... 続きをみる

  • 福寿草

    雪解けの時期になると この花を見に2時間もかけて山を登る 鈴鹿北部の山では カレンフェルトのあちこちで クリアな黄色光を反射している 一輪であっても 数輪であっても その存在感は大きい それに惹かれて今年も登った 今日も地味な地面で黄色の反射が眩しかった

  • 金勝(こんぜ)のオブジェ

    古代の遺跡 古生物の化石 珍獣 巨人の手 新種のナメクジ 抽象アート ブースカの冠 威嚇 悲哀 藻掻き 卑屈 頓馬 思い付きの羅列です

  • 丸石と築山

    細かい粒子の土をサラ粉というらしい 水分を加えて固め球体に磨く 真砂も固めると花崗岩に戻るのだろか いや、これは磨いて球にしたのだろう サラ粉を造った時の副産物かも知れない 子供の好みそうな工作だ 子供は球体や曲線が好きなのだ 年月をかけて誰かが磨いた石の向こうにも 心地よい曲線が見える 誰がこさ... 続きをみる

  • 山の色気

    凛と冷えた林間を抜け トーミの頭に上がると 彼女は薄化粧で待っていた 柔らかい曲線と流れる縞模様 見惚れる山だ 浅間山 美の裏には色気がある

  • 岩窓

    大窓、小窓 著名な山の岩窓には名前がつくが これにはない しかし、この窓枠の向こうには それら窓に負けぬとびきりの色が広がる 額縁効果によって映える空は しばし見つめることで 遠近が逆になる ルビンの壺の如く 違う絵になるのが面白い

  • ウルトラQ

    子供の頃、番組の始まりに背筋がゾクッとしていた 怪奇・科学番組のオープニング映像 もちろん画面は白黒映像 2つの渦の動きと効果音がマッチし 相反する恐怖と期待が渦のように合わさる ガラモンやカネゴンはユーモラスである 怪奇で不思議な物語に ミスマッチながら愛嬌たっぷりなキャラクターが 子供心を惹き... 続きをみる

  • 顔紋様

    サルがいる ナマケモノがいる フクロウにカラス それにETも 薄暗い木陰で出会った倒木に 思わず後ずさり 頭の中に浮かんだ「怨念」は 1つ1つ像を結び そして生き物になる 群化の法則というものがある 目の前の世界にそれはない 時をおいても 集まる渦にまとまる世界は生じない 私たちには 見たいものを... 続きをみる

  • コーティング

    これは単なる霧氷ではない タテガミはない 特殊な技術で 昨夜のうちに仕込んでおいたのだ 地面の笹はそのままに 立木だけコーティングするのは 私の専売特許 ただ、舐めたって甘くはない うまい具合に空も濃くなってくれたから 化粧が映える 何の目的でと聞かれても困るんだが 遊んでみただけと言ってもいい ... 続きをみる

  • 鼻岩

    嗅覚は古くからの感覚である 視覚や聴覚よりも先輩だ 嗅球の受容体は神経そのもので 信号は中継を経ずに脳部位に伝わる 好意、愛情、攻撃、忌避 記憶と情動は刺激され 感情と行動を起こさせる マグマの噴出はこの地に渓谷を作った 1000万年以上も前のこと ひたすら水と木々と苔の匂いを嗅いできた 無表情で... 続きをみる

  • つられ笑い

    滝をもっと上から見てやろうと 対面の急な斜面を這い上がった 斜面上部で振り返った時 思わず笑みがこぼれてしまった 人間にはミラーニューロンシステムというものが備わっているらしい 他人の表情や動作を見ると 自分の脳の中でも同じことをするように 神経が働いているのだそうだ 思わず同じ表情をしたり 真似... 続きをみる

  • ラムネ菓子

    花崗岩の一枚岩を流れ落ちる滝の右岸を高巻き 真砂が埋める平地を流れる川端に立つ 先ほどから耳に入る口笛のような風音が 大きく聞こえるようになった 開けた滝の上で流れ吹く風の中 意識を集中させ 強弱に波打つ音の方向に視線を向けた時 小さな緑の円孔が視界に入った 音源だろうか まるでラムネ菓子を咥えて... 続きをみる

  • 十三仏

    大岩の根元には十三もの仏が 祀られる 岩の背後は山界 僕はそこから仏界に降りてきた 仏の集合地から続く長い石段 木漏れ日の演出の中 苔むした石仏が並ぶ異界を抜けると 竹林が風に洗われ コン、コーンと音の空洞が降ってくる ああ、人間界はもうすぐだ

  • テーブルマウンテンの木

    もちろんギニア高地ではありません ほんの身近にある森の中で見つけた切り株 朽ちた切り株と繁茂する苔 木漏れ日による陰影は 小さな世界を深く広げます どうですか? 麓の苔は熱帯林に 切り株は岩山に 見えてきませんか 新種の生き物も潜んでいそうでしょう 妄想を楽しむ対象は なんでもない足元にもあるのです

  • フレンチブルドッグ

    そんな顔で睨むなって ちょっとしたトラブルがあって 下りてくるのが遅れたんだ そもそも、おまえが一緒に登るのを 嫌がったからじゃないか それにしても雪も払わず よくじっと待っていたね さあ、機嫌を直して 一緒に帰ろう

  • 孤岩

       吹きっさらしの高原で    可愛らしい石を見つけた    なんとなく生き物を    そして人間を感じる    そんな寂しい石が    ポツンところがっていた

  • 虚像

    あれは 今  ほんとうに あそこにあるのだろうか 影のようなあれと 暗闇を照らすあれは 同じもの? 感じることは出来ようか いやできまい あれが引く力を あれはいつも同じ面 信じられるだろうか? 出来すぎた同期 27・32日 誰かが貼り付けたのだ  天球に 裏面に潜む 狂気を封印するために

  • 幸運の珍変木

    霊峰山頂から尾根筋を少し下ると 雪面から案内板が生えていた 「ブナの珍変木」 「唐変木」はもはや死語だが こんなところで新語が生まれていた いかにも行為をそそる凍れたアーチ 風雪の仕業であるらしい くぐれば幸せを呼ぶと言う すでに何人もが実行したようだ 当然ながら僕も四つ這いで こうう「ん」のフォ... 続きをみる

  • 山のサンゴ

    「ねえ、じいじ  ここにはニモやドリーはいなかったの?」 「ここにはいないよ、水の中じゃないんだ これは高い山の上にあるお花畑なんだ 息も凍るくらい寒い冬になると 畑の葉っぱたちはサンゴになっちゃうんだ」 「へえ~ 山にもサンゴができるんだ! ねえ、今度見に連れてって」 「そうだな おまえがこの話... 続きをみる

  • 浅間山

    早朝の陽光に生と死が並んでいる 「死」の訪れは 六万五千年も前の白亜の頃 三億五千年の繁栄は凍て 時の流れを示準する 「生」の誕生は 十三万年を遡る中新世 やさしくたおやかなドームは 幾多の生を奪った過去をもつ 遥かな尺度で眺めれば いずれも瞬時の出来事 死と生が静かで穏やかに並んでいる

  • 空目

    表皮の細胞は窪みの構造を作り 脳は頭蓋の外に出先を作る 2つの動きが結びついた結果が目だ Pax6にコードされた巧妙な進化 レンズを通った光子は網膜の視細胞が捕え 波長は電気信号に変換される 軸索を経て送られた信号は 脳の視覚野で画像として組み立て直される 「見え」の知覚とはこういうことだ しかし... 続きをみる

  • 黄金の瞬間

    荘厳な光源が頭を出す直前 世界は黄金になる 決して特別ではないありふれた朝 その時 ある者は目覚め ねぐらを出る準備をするだろう ある者は狩りを止め ねぐらに帰るだろう そして、我々は 黄金の空に手を合わし 涙する 1400万年もの太古から 欠かさず合掌し続ける かの岩礁と共に

  • 僕は中学生の時 冬の寒い校舎の外で1時間も立たされたことがある 始業時間に教室に戻っていなかったというだけで 3人か4人一列に並んでいたな そう、ちょうどこんな具合に バカを抜かすな 校舎の外とここを一緒にするんじゃない それに、俺たちは一晩以上だ 見てみろこの身体がその証だ いや失礼 ところで、... 続きをみる

  • 地球の色

    こんな日に山に登れる幸せを噛みしめる マイナス15度、凛とした空気の中 遠くから乾いた破裂音 極寒に幹が耐えられなかったのだろう 残酷な現象だが 林間を抜ける音は耳と皮膚に心地よい 樹上を見上げてみる 木は見上げる姿が良いと言うが 納得いく生命性と美がある 出来過ぎをも感じさせる光景は 誰かが仕組... 続きをみる

  • 立ち行

    強風と正面きって対するには 肩幅より少し広く踏ん張り 腰を落としやや前傾姿勢を保つ これが重要な構えだ なに? ピッケルは持たないのかって この姿を見てもそんな物が必要だと思うのか お前も一度道具に頼らず 己が身だけで受け止めてみると良い 尾根を越える風を 樹木の繁茂が少ないこの尾根では 北西から... 続きをみる

  • 失色

    色の知覚には網膜にある3種類の錐体細胞と 側頭葉にあるV4領域の機能が必要だ どちらかが不全だと 知覚できる世界は白黒のものとなる 溶岩台地に吹き付ける風は容赦がない 列島に寒気が南下し 低気圧が北日本を通過する 北アルプスに多量に雪を落とした後の 身を切る寒風が諏訪を吹き抜ける この日、黒雲が空... 続きをみる

  • モノリス

    神の居どころに由来するこの地の巨石 広大な大地に作られた環状の神座「カルデラ」 1400万年も前の建造にもかかわらず その座の背もたれは時の流れに抗い この荘厳なる形を保ち続ける それは 今もなお座を守り続ける犬の 熱き忠誠心の賜物なのであろう

  • お仕置き

    ねじりの入った体の先に 天空のどこかを見やる悲しげな顔 苦痛と懇願 背に負わされた幾重の重しは 罪の数によるものか? 俺は素知らぬ顔をして 横を通り過ぎようとした だが、そいつは呼び止めたんだ なに? 俺に頼みごとがあるだって? いやいや おおよその見当がつくだけに それは聞くことはできない 誰の... 続きをみる

  • ゆるぎ石

    揺るぎない意志とそれを価値あるものとする社会 そうした価値を幻想だと言ったら言い過ぎだろうか 人間界では揺るがない意志とその持ち主が 価値高く賞賛され尊ばれがちだ しかし、僕は思う 揺るぎないことがどれほどのものか、と 強固な意志の所持者であっても 自身を構成する素は 揺らぎで成り立っているのだか... 続きをみる

  • 跨り岩

    思わず乗って見たくなる心地よい曲面 ズリッ、ズリッ、ズリッと 股間の宝物に気をつけながら 先端を目指して跨り移動 鞍部に臀部を落ち着けて サイの角の先に視界を広げれば さて、何が見えるだろうか 穏やかで、長閑で、のほほんとした そんな世界が見えるに違いない